何だっけ？話題。
第2回 下のワンダーランド。
三原
ＧＯ
Peachboysの魅力について。
三原
そうだそうだ、魅力。
あの――Peachboysに来るお客様は、是非、開演時間のちょっと前に必ず来て欲しい。
何故なら、開演の前にノリさんの前説※①があるから。
※①
Peachboysの旗揚げ公演から出演してくれているノリさんこと三宅法仁さんによる、開演前恒例となっている前説。Peachboysを観る上での諸注意を軽快なトークで以て教えてくれる。シンプル過ぎる舞台に不安がっていたお客さんの心はこれで大体ほぐれる。
岡見
アレ大事！
谷仲
アレないと何にもほぐれないからね。
（初見で）遅れ客で観に来た時のほぐれなさ加減、すごいからね。
ただひたすらエロいんだかエロくないんだか分かんないっていうのを見せられてるな、っていう気分になっちゃう可能性は充分にある。
三原
そう、お客さんね、Peachboys観る時はね、喋って下さい。
全然、ナニこれ？って言ってて良いと思うんです。
山川
テレビ観る感覚でね。
三原
明らかに、こちら側に向こうが台詞を言う時があるんで。
合いの手とか打って良いと思います。そうそう！みたいな。
ノリさんの前説、五分ぐらいやってる？いつも。
白坂
何だかんだ言って五分近くやってますね。
三原
僕らは何回も観にきて、楽しみに来てるお客さんなので、あっノリさん来たなー良し良しって思って準備しますけど、
初めて来たお客さんにとっては、何だコレはという時間になると思うんです。
でも五分もやられるとやっぱ慣れてくるんですよ。
そういうものを五分間もやられると、じゃ、そういう気持ちで観ようかなって気持ちで、実にリラックスした感じになる。
なので、是非開演前に来て欲しい。アレ、今開演何分前にやってるの？
白坂
今、アレは開演の直前にやってる。
三原
開演の五分前ぐらいだよね。それぐらいには必ず、着席しておいて欲しい。もうお手洗いとかもその前に行っておいて欲しい。
岡見
かかってる曲も良いんだよね。
三原
いやー、完璧ですよね。
岡見
客入れでかかってる曲も、何だかんだでこだわりあるよね。
KYO
いっつも同じですけどね。
岡見
それも世界観に繋がるからね。
KYO
好きな人にはたまらない。
三原
たまらない！
岡見
アレでまず、客入れの段階で、三十代中盤から上辺りがおっ？ていう、一つのフックになる訳だよ。
谷仲
青春のね。
三原
作家の白坂くんが、昭和56年生まれですから。それ前後に生まれている方にはどうしてもね、耳に入ってくる。
岡見
いや俺ピーチすげえな、って思うのが、あそこら辺の曲は当然聴いてるんだけど、全然好みでも何でも無いのよ。
好きでもなんでもないんだけど、ピーチのあそこでかかると、おお！ってなるのよ。
三原
何かね、曲がかかった瞬間のカタルシスがね、ハンパないの。
岡見
おお！っていうね。
三原
そう。曲がかかって暗転していく時のスピード。そのいちいちがね、煽ってくるんですよ、こちらを。
白坂天才だな、って思うんですよ。
一同
（笑）
KYO
劇団員※②が言った。
※②
作・演出の白坂さんははらぺこペンギン！の主催でもある。三原さんはぺこペンの劇団員。
白坂
これ良く出る台詞です。
三原
Peachboysね、今回『金玉先生』じゃないですか。
今までも、『相棒の棒』だったり。
『リーガルハイハイ』が下ネタなのかどうかは高度な次元過ぎて分かりませんけど。
岡見
『白い巨根』あたりからね。隠さなくなったんだよ。
谷仲
オブラートに包まなくなった。
三原
でも、いわゆるその下ネタな感じのモノを観るよりも、全くセクシャルなニオイがしないんですよ。
岡見
そうね。
三原
これ大事ですよ。Peachboys、セクシャルなニオイが全くしないんですよ。凄いことですよ。
だって、上演時間100分ぐらいで、ずっと童貞がどうだ、チンコがどうだ、何だかんだって言ってる割に、
100分の中でセクシャルな気持ちになることが、一瞬たりともほぼないですから。
女優さんに出て頂いて、童貞を誘惑するようなアクトをして頂くことがある。
けど観ている側としては、彼女は彼を誘惑していることはわかるんだけど、それでどうっていうのが全くない。
嫌だな、とも全く思わないし。これは、もの凄いことですよ。なんでしょうかね。
谷仲
まあある種、種の起源に沿った話だからね。
一同
（笑）
KYO
そこ？
ＧＯ
掘り下げましたね！随分。
谷仲
アダムとイヴが出会ったこと、そのものから始まってるようなものだから。
岡見
失楽園の前。
三原
ミルトンのね。そんななんかいやらしい話じゃないんだ、っていうことですよね。
今日の稽古中※③に白坂くんが言ってて、実はこれ、毎日Peachboysのことを考えている中で僕も思い至ったんですけど、
※③
この日、三原さんは稽古場に見学に来てました。
Peachboysって要するに、小学生が公園とか駐車場とかでナントカごっこをして遊んでいる延長線なんです。
谷仲
うん。
三原
だから、実に、ど～～～でも良いんです。
色んなことがあります。気になることあるでしょう。役者さんの演技だとか、台本の構成だとか。
何か見る時に色々気になることとかあるでしょう、演劇を見られる方は。
もしくは、演劇を初めて見る方は、お芝居ってどうやって観れば良いのかなって、色々あると思う。
でも、皆これだけは覚えておいて欲しい。んなことはどうでもいいんだ。
一同
（笑）
三原
何もかもがどうでも良いんだ、って気持ちになる。Peachboysはね、それが良いんですよ。それが魅力なんですね。
谷仲
子供の時にさ、例えばお医者さんごっこというものをしましたと。
した時に、例えば、女の子の服を脱がせたとか、脱がせてないかで言ったら、
boysは脱がせないところで生きてきたわけじゃないですか。
三原
脱がせない。もうお医者さんごっこをしますっていう言葉だけでめっちゃ笑い合って楽しんでいる感じなんですよ。
岡見
いわゆる引くタイプの下ネタ一切ないからね。
三原
実際には文言としては結構入ってるんですよ。
岡見
言葉はね。
三原
でも、それは、俳優の演技だったり、白坂さんの演出だったりで、失礼ですけど、引くほど真剣に見れないんですよ。
岡見
そうだね。だから、言い方一つ取っても違うし。
どうしても下ネタというところが目立っちゃうから、
他の下ネタを見てきて、下ネタやだな、って思った人の下ネタのイメージで、
下ネタってそういうもんだって思われちゃうことはあるかもしれない。
でも、これはジャンルは下ネタかもしれないけど、言い方変えれば青春物語でもあるわけですよ。
三原
そうなんですよ。
彼らは、二十歳前後の童貞ということになってますけど、実際にやっている俳優は三十過ぎの、
なんなら四十代の俳優さん女優さんもいらっしゃいますけど。
でも、イメージとしてはやっぱり中学生なんですよね。
岡見
そうそうそう。
三原
子供が舞台で遊んでいるのを見る、親の気持ち。
岡見
しかも中学生の男の子だよね。
三原
そうですね。男の子ですね。
岡見
中学生男子。
三原
やべえな、中2男子っていう。
岡見
だから、女性のお客さんで喜ぶ人たちって、やっぱそこ見てて楽しいんだと思う。
バカだなぁ男は、みたいな感じで。
男はっていうか、中学生男子だけど。
谷仲
まあ映画の『パンツの穴』※④とか観た人には何のことも無いよね。
※④
月間雑誌『BOMB』の読者投稿のワンコーナー、下半身に関するちょっとな悲喜こもごもが語られている。それを原案とした、映画も制作された。
岡見
『パンツの穴』だいぶ古いよ。（笑）
谷仲
あの系統のね、僕らが小中学生の頃やってたけど、今の時代やってないから。
岡見
そう言われるとそうね。
谷仲
だから、そこはちょっと難しいな、とも思うんだよね。
岡見
ポーキーズとかね。
三原
Peachboysね、タイトルもそうだし、下ネタだなーって思っている方はもしいらっしゃれば、
Peachboysに出てくる下ネタの程度って、要するにタモリ倶楽部のオープニング※⑤ぐらいなもんなんですよ。あんなレベルです。
※⑤
下着姿の女性のお尻が曲に合わせて揺れる映像が延々と流れます。
あれ観てフ～！フ～！って盛り上がる、それしか本当にネタのない男子を見るような、そんなレベルなんで。
岡見
そうだから、下ネタっていうのが、何かイメージがそういう自分たちが見てきたものに縛られちゃうんだったら、
いっそ下のワンダーランドぐらいにしといた方が。
一同
下のワンダーランド。
ＧＯ
名言出ましたね。
岡見
それぐらいのものよ。
ＧＯ
字、コレでっかく書いて。
岡見
そう、下はあるかも知れないけど、基本ワンダーランドなんだって。
