Peachboysって何回も公演を重ねる内に毎回こう、お決まりというか、繰り返しやってることがあるんですよ。
三原
Peachboysって何回も公演を重ねる内に毎回こう、お決まりというか、繰り返しやってることがあるんですよ。
それは、岡見さんが言ってた伝統芸みたいなところに繋がっていくんですけど。
僕が、特に好きなものをいくつか挙げたいんですけど。まず川本くんの何もせずに舞台にいる時間。
一同
(笑)
KYO
コアなところピックアップしちゃった。
三原
主役というか、センターにいるわけですよ。Peachboysの三人の一人ですから。
その川本くんが、特に何もせずに状況をただ眺めている。
一同
(笑)
三原
しかも、別に、ただそういう風に出しているんじゃなくて、
台本の構成上、ただただ台詞がないっていうだけなんだろうなってところなんですけど、そのシーンがたまらなく好きなんですよ。
谷仲
天才だよね。
三原
天才!あのね、何にもしてねえんだよ本当に!
谷仲
あれね、芝居の真骨頂だよ。
一同
(笑)
谷仲
何もしないって芝居の真骨頂!青年団※①すら凌駕している。
※①
平田オリザさんが中心になって結成された劇団。オリザさん提唱の「現代口語演劇理論」に基づいて作品制作が行われています。いわゆる、口語体による自然な演技、が特徴なのだと思いますが、KYOSUKEは全く関係ありません。KYOSUKEはサボっているだけです。
岡見
そこが日本一の所以だよね。
谷仲
そう。まさかまさかの平田オリザという方がいらっしゃるところが、
苦心して考えた挙げ句に提案したものを、別にそれを一個も受けないのに、ココに権化がいますよ※②、っていう。
※②
そんなことありません。KYOSUKEはサボっているだけです。
見事にそれをやってるのがもっちゃんなんだよ。
三原
あの、何回もPeachboysの公演を見てて、毎回新しい公演を楽しみにして観にきている中で、
ふと、もっちゃんただ居るな、って気付く瞬間があるんですよ。
もちろん最初は分かんないんですよ。
でもアイツ、ただ立ってるだけだなって思う瞬間があって、それが溜まんないんですよね。
で、それに気付く瞬間って、会場では普通にお芝居が進行しているから、何も関係ないところで急に面白くなるっていう。
で、急に笑い出しちゃって、本当周りのお客さんに申し訳ないなって思うんですけど。
鉄板であるんで。ちょっとねえ、もし気付いた人が居たら、普通に笑って頂きたい。
岡見
ある意味それはね、役者やってて初めてピーチ観た人が気付くかも知れない。
三原
あーそうかも知れない!
岡見
コレありなんだ!って。でジワジワジワジワくるっていうね。
谷仲
芝居してる役者っていうことが、如何に恥ずかしいかってことをもっちゃんに見習うべきだね。
岡見
ホントそうだね。
三原
川本くんのあれはね、ちょっと一見の価値がありますよね。
岡見
刀振りゃいいってもんじゃねえんだぞっていうね。
白坂
多分サボってるだけだと思うんですけど。
一同
(笑)
谷仲
いや、多分もっちゃんの中でここは喋らない方が良いなって思ってるジャッジはあるよ。
白坂
台詞がないっていう状態でいるんだよ。
谷仲
これは演劇やってた人は、一回ぐらいあるけど、そこお前うるせえんだよ動くなよ!って、
特に何も言わないで手動かしただけなのに怒られるみたいな。もっちゃんは本当にただそこにいる。
三原
例えば、同じ台詞がないシーンで菊池豪が何やってるかと言うと、
豪くんは例えば最初に自分に台詞があって、その後しばらく台詞がないとかだったら、
次の台詞言う人のために場所を空けたりするんです。
でも川本くんは違うんです。
最初っから隅っこで台詞言っちゃうんです。で、そのままその位置で動かないんです。
白坂
最小公倍数でやってる。
一同
(笑)
白坂
ここで言っときゃあとはもう大丈夫。
一同
(笑)
谷仲
これはね、賛否あるだろうけど、俺はもっちゃんは肯定して良いと思う。それは自信持ってそこに居て良いと思う。
三原
しかも、それが計算している感じが全くない。全くないのが凄いなって、同じ同業者として、僕らは思うわけですよ。
岡見
そうね。
三原
豪くんの話が出たから言うけど、ここからはPeachboysを初めて見る人にはここを見て欲しいという話をします。
めくり。Peachboysって素舞台なんで、舞台セットが凄く簡素じゃないですか。(全体を覆っているのは)黒い布ですし。
それが舞台下手側のね、舞台のあの一番前に。
谷仲
下手のツラにね。
三原
お客さんのところに、落語とか寄席とかであるような。
谷仲
テテンっつって。
三原
白い紙に習字かなんかで書いてある、ここはどこですみたいな。今、次に出てくる人誰ですみたいな。
あれ、めくりって言うんですけど。
KYO
素舞台だから(今どこの場所でシーンを展開しているのか)分からなくなっちゃう。
三原
そう、素舞台だから分かんなくなっちゃうっていう凄まじい理由で、Peachboysは置いてあるんです。
演劇でめくりが置いてある演劇、僕は他に知りません。
それだけでも凄い画期的な、というか、ああ何か開き直っている感が凄いな、って思ってるんですけど。
あれをこうめくって、例えば学校ですと“学校”って書いてあるんですね。
ペラッとめくると次、“アジト”とか書いてあるんですよ。
それがですね、第一回公演からやってるかな?“道”。
白坂
“道”はあるんじゃないかなあ。
三原
これはネタバレでも何でも無くいいますけど、ペラッとめくると“道”って出てくるんですよ。
“道”っていうめくりが出てきたらお客さん、ここ前のめりになる瞬間ですからね。
一同
(笑)
KYO
ある意味、見所ではありますね。
三原
まず、めくりをめくるのは、よく寄席とかですと、黒子さんとか要するに裏方さんがめくるんですけど、
出演者がめくりますので、当然めくる瞬間とかめくった後にワンアクションしていくんですよ。
その、魅せるというかね。お客さんに対してサービスをしてくれるんです。
“道”が出てきた瞬間、ここの、菊池豪をね。
白坂
まあね、菊池豪がめくるしね、今回も。
GO
そうっすね。大体“道”は僕がめくります。
三原
で、豪くんがめくったら、みーーちっ!!!て、お客さんに凄い振ってきますから、もう見慣れている方は一緒に言えば良いと思います。
一同
(笑)
白坂
いやいやいや。
GO
いやいやいや。
谷仲
言ってみれば豪くんはその時、せーのって言った方が良いよ。
GO
いやいやいや。
三原
僕はね、あれが、初めてPeachboysを見た人に対しての、一番如実に分かるサービスポイントだと思うんです。
まず、めくって“道”って書いてある段階で、何やねん、って思うわけですよ。
それを提示されても、って気分になるんです。
それを提示されても、みたいな気持ちはこの後どんどん思うんで、あの“道”ではジャブだと思って普通に流して下さい。
谷仲
ジャブなのか。
三原
ジャブですよ。
谷仲
ここだけって言ったのに、ジャブなのか。
三原
全然ジャブです。でもその“道”をめくって“道”って言う時に、
俺はこれだけの熱量を持って、これだけお客さんに“道”っていうものを届けたいんだっていう菊池豪の熱量を、
お客さんと一体になって、劇場を熱く盛り上げていきたいと思うんですよ。
一同
(笑)
白坂
サポーター宣言ですね。
山川
常にいるんですか。(笑)
谷仲
これでも不思議なんだけど、別にお客さんを巻き込もうとして巻き込んでないよね。今のところPeachboysは。
三原
全くないですね。
白坂
客いじりはしないですね。
三原
それが上品ですよね。
谷仲
最近ね、その(Peachboys側は)巻き込もうと思っていないのに、勝手に巻き込まれにくる風潮が徐々に増えきてる気がする。
三原
そうそう、お客さんが巻き込まれたがっている感がある。
KYO
Peachboysを見にきたお客さんが。
三原
あのPeachboysが雑っていうお話さっきしましたけど、やっぱ作りが粗い感じが、お客さんが入り込める隙があるんですよ。
岡見
段々慣れてきたお客さんが増えてきたよね。
三原
そう。まあ、笑いやすいってのもあるんだけど。
それをね、どうせ楽しくやってるのが分かるから、皆で楽しめたら良いなって思う。
その代表が、菊池豪くんの“道”。
谷仲
“道”。
岡見
”道”か。
GO
“道”なのか。
三原
あの、白坂くんと以前、別の現場で話した時に、豪の“道”に関して、
別に俺がやれって言ったわけじゃないんだけど、毎回やるからやらしてるんだけど、
そろそろ新しい面白い何かが出てくるんじゃないかなって思ってるんだけど、
毎回あれなんだよねーって喋ってて、次回どうすんのかなーって僕は思ってみてるんだけど、楽しみですよね。
KYO
急にプレッシャーをかけてきた。(笑)
GO
まあ、ちょっと変えなきゃなっていう風には思ってて。
三原
ああ、そうなんですか。僕は楽しみにしてますよ。
白坂
チャレンジはしてるよ、今回。
三原
あ、今回チャレンジしてるんだ。今回、出演者が15名。
KYO
過去最多ですね。
白坂
まあ、でも誰も死に役はいないですよ。みんなオイシイと思います。
岡見
711のあの楽屋に15人※③。
※③
下北沢シアター711の楽屋は15人入るには狭いです。
白坂
711に15人詰め込んでやってますよ。誰も死に役はいない。
三原
それプラス、めくりがあるんだ。そこをちょっと注目して頂きたいですね。