他の舞台とかでも、凄く俳優たちが馬鹿馬鹿しいことを一生懸命やってます、みたいな宣伝文句があるんですけど。
三原
他の舞台とかでも、凄く俳優たちが馬鹿馬鹿しいことを一生懸命やってます、みたいな宣伝文句があるんですけど。
岡見
あるある。
三原
別に、Peachboysは、結果として凄く馬鹿馬鹿しいんだけど、
誰一人馬鹿馬鹿しいことをやっている感じがしないのが、面白いんですよ。
岡見
そう!
谷仲
あのね、一生懸命以外の何者でもないの。必死だもん。
岡見
そこはそう、出てた側からすると、舞台裏なんかね、こんなに真面目な役者って最近見ないなってぐらいに、皆すごいからね。
で、下ネタとか何とか抜きにして、いわゆるスラップスティック型コメディの中で、
俺やっぱりピーチが凄いっていうか、好きなのは、
後半はさすがに被り物とか色々出てくるけど、序盤から中盤ぐらいまでそういうものに頼らないのよ。
三原
はいはいはい。
岡見
まあ衣装さんいて、後半の部分の衣装がんばってくれるけど、でも、それも必要最低限の部分で。
しかも衣装の側もわかってるから、普通にリアルなものでやってるじゃない。
だから、例えばメイクだ、やれその衣装で笑かすとかそういうことは一切ないわけよ。そこをもう、まっ正直に最初からやって。
そこまでやれるっていうのは、やっぱりやってる人たちは真剣にやってるし、だからこそ見てる側も入りやすいんだよね。
もう出オチみたいなのは最後まで大切に残しておくし。
三原
あと、その下ネタ云々の話もあるんですけど、Peachboysの僕の好きなポイントというか、
人にオススメしたいポイントとしてやっぱり色んなもののパロディ、なんですけど、
パロディのネタは深いのに、底が浅いんですよ。
一同
(笑)
三原
なんかね、パロッてるのが雑なの!
一同
(笑)
三原
もうね、死ぬ程雑なの!
何故なら、作・演出の白坂くんは知ってるけどキャストはそこを通ってない人たちがやってることがほとんどで。
やる上で調べる、ぐらいの執着心なんですよね。そのね、雑さがね、たまんないんですよ!
岡見
ああ、良いねえ。
三原
僕は、白坂くんと同い年っていうのもあって、僕も全ネタが分かるつもりで見てるんです。
凄く思い入れのあるネタとかもいっぱいあるんです。
似てねえ~!とか、こいつ絶対知らないでこれ言ってる!とか、そういうことがある。
あと、正直なことを言うと、白坂はパロディのつもりで書いてる台詞を、
俳優さんは普通に状況に即した台詞だと思ってるから、実は気付かずに言ってる台詞とかが、実は何個もあるんです。
三原
あーこれホントはパロディだけど、普通にシーンの台詞として成立してるなーと思って。それはそれですげーなーと思うんですけど。
一同
(笑)
三原
だから本当はそこは、ただただパロディなら、言い方とかモノマネとかすれば良いなと思うんだけど、そうじゃない。
なんかね、その、白坂が盛り込んだものが、過剰供給過ぎて、
キャストが最終的に追いつけないまま、本番を迎えるっていう感じが、なんかね、そのPeachboysの盛り沢山感を如実に表している。
岡見
そうそう盛り沢山もそうだし、パロディって、上手く綺麗にやり過ぎても面白くない。
谷仲
そう。
三原
その芸の巧さは楽しめるんですけど。
岡見
そう、楽しめるんだけど、似てる~ってだけで終わっちゃうんですよ。
そこを一周回って、似てないけどやろうとしていることが伝わってておかしいっていうのを、俺は一本目で感じて。
あのエヴァやった娘?※①。
※①
旗揚げ公演『モテナイ』にて、出演した工藤史子さんはなんだかんだあって最終的に綾波レイっぽくなるというキャラだった。
あれ見た時に、俺もそんなにエヴァ見てないけど、凄いやらんとしてることは分かって、
全然似てない加減が無茶苦茶おかしくて、それはねえ、そう簡単に出せるもんじゃないんだよ。
三原
うん。
岡見
みんな、似せよう似せようってやっちゃって、でリアルな方向にいってウワー似てるぅ!で終わっちゃうんだけど、
あのね、言い方は本当に近いんだけど、声とか何とか全然似てないとこやってるのが凄いおかしかった。
谷仲
や、もうね、そこいくともう、国民的に皆様が見てらっしゃる方が偽物で、こっちが本物なんじゃないかっていう。
一同
(笑)
谷仲
だって、俺は間違いなくカズヤだったしタツヤだったから※②。
※②
第四回公演『相棒の棒』で谷仲さんはタツヤとカズヤという双子の兄弟を演じた。
一同
(笑)
三原
ちょっと待って、それは言い過ぎだろ!こっちが本物とは言わんわ。
白坂
谷仲さんを見てタッチを思い出すことはないわ!
岡見
これね、内輪側から言うのはお客さんにどう伝わるか分かんないんだけど、
まるまる似せないで、似せようとある程度はしてるんだけど、役者が上手いから別の形で以て成立して、それが面白いってのがある。
あれがホントにもう箸にも棒にもかからない奴がやろうとしても、痛くて痛くてしょうがないから、見てて。
(普通だったら)このシーンカットね、ってなっちゃう。
そこを何とか(元ネタを)見てなくてもやり通す、っていうものがあるからこそ、
あれが結局新しいものとしても感じられるし、昔見たものとしても感じられるし、だから見てる方は、おかしいんだよね。
KYO
超ホメてくれる。
一同
(笑)
谷仲
いやだって、やってる側からしたらね、偽物に似せちゃいけないって言って、俺が本物だって言ってやんないと。
一同
(笑)
白坂
めっちゃ言うやん。
岡見
だから、お杉さんがベッキーやった時※③も、最初ええ?って思った。
※③
第誤回公演『白い巨根』でお杉さんこと杉村こずえさんは人造人間・ベッキーを演じた。
この娘をベッキーに?と思ったんだけど、こっちがベッキーに見えてくるもんね。
谷仲
そういうことなんだよ。
三原
岡見さん、こっちがベッキーは、頭おかしい(笑)
一同
(笑)
三原
ベッキーはベッキーだから。
谷仲
でもあれは、誰もが、お杉をベッキーだと思ったに違いないよ。
三原
でもそれで言うと今回の公演、この娘、本物かも知れないっていう娘が出てます。
岡見
ハハハ、マジで?
三原
やばいな、似てるな、って娘が。似てるなっていうか、本人がモノにしてる感がある女優さんが、
とりあえず今日、ちょっと稽古見た段階で一人いました。
岡見
おお~。
谷仲
ちょいちょいね、もっと面白いのは、それと全く別のオリジナルキャラが必ずPeachboys出てくるから。
それはね、どれが似せてて、どれがオリジナルなのかっていうのを見るのがとても楽しみです。
一同
(笑)
山川
通な楽しみ方。(笑)
三原
今回の公演に関しては、僕、さっき稽古見てて思ったんですけど、
あのね、白坂がさっき最後これどうなんだろ、って話してたけど、僕は正直、ケンのラストシーンで俺ちょっと感動してたから。
一同
(笑)
GO
今日ので?!
谷仲
あのね、そう言う意味で言えば、感動せずにはいられない作品にはなってる。
三原
なってる!
一同
(笑)
三原
本当にこれは、初めて見るお客さんにじゃなくて、何回か見てるお客さん向けの発言ですけど、
是非、すごく自分で想像しながら、どんどん感情移入して見てもらうと、最後、めっちゃ泣けます。
すっごい気持ちが盛り上がる。
だから今日、ちょっと稽古見ただけだけど、あの、川本くんがやるケンのラストシーンで、俺ちょっと感動してたから。マジで。
KYO
泣けますって、本番泣くつもりで見に来られても(笑)
GO
泣けねえじゃねえか、ってなりますよ。
白坂
泣けません!
岡見
そこに無理矢理繋げるわけじゃないけど、ピーチの物語の構成で良いなって思うのは、
昭和のトレンディドラマよりも更に前の時代のドラマ構成の良いところをピックアップしてパロディ化してる部分もあれば、
良いところをそのまま残している部分もあって、
やっぱりあの時代に作ってたドラマって凄い良い構成だったんだなって改めてその時は思うよね。それは別に決して古くないし。
で、それをこのピーチの中でやってるっていうのが、凄いくだらないことやってるしふざけてるんだけど、
でも最後間違って感動する人ってのも、必ず出てくる構成になってるんじゃないかな。
三原
ちょっと待って間違ってねえから!
一同
(笑)
岡見
表向きは何も残らないっていう風に言ってるけど残る人もいるっていうのは構成の妙だなっていう風には思う。
三原
僕は、白坂さんと川本くんとも同じ劇団ですけども、白坂さんと18才で出会って17年ぐらいの付き合いになりますけど、
こいつ天才だなって言ったのはPeachboysの劇場だけですからね。
一同
(笑)
白坂
今ここでも言ってましたよね。※④さっきも言ってましたよ。
※④
この対談、飲み屋でやってます。
三原
Peachboysに関わることでしか言ってないですからね。
劇場で見終わって、お客さんがいる中で言ってて、流石にちょっと引いたって言われましたもん。
白坂
まだお客さんいるのに言うから。